第3回秋春シーズン制移行タウンミーティング 報告書(再掲示)

11/20(火)に掲載した『第3回秋春シーズン制移行タウンミーティング報告書』におきまして、DAZNに関して事実と異なる下記情報が掲載されておりました。訂正し、お詫び申し上げます。

・年間視聴者数に関する数字および収益状況

・J3の放映権

第3回秋春シーズン制移行タウンミーティング 報告書

日時:2023年10月28日(土)

場所:富山県民会館3階302号室

弊社:左伴社長、齋藤社長室長、遠藤強化部長

出席者:20名

1.社長説明
10月26日付プレスリリース秋春シーズン制移行に関する弊クラブの見解について

2.質疑応答
Q.このような機会を作っていただき、また、クラブ見解を発表していただいことに、とても感謝している。しかし、クラブ見解を読んだ一部の方たちが「富山はシーズン移行に賛同している」と間違って捉え、SNSに投稿・拡散させたことで、「降雪地域の富山が賛同しているのであれば問題ないのではないか?」というような風潮になりつつある。それは「支持」と「賛同」を正しく理解しない読み手側にも問題があるが、同じ降雪地域のアルビレックス新潟が「シーズン移行は様々な問題があるので反対」とはっきり意思表示している中で、賛成がひとり歩きしていることに違和感がある。そもそもJリーグの進め方に問題があり、シーズン移行の本格的な議論を4月に開始し、結論は12月中と位置付けているが、もしも最終戦に大雪が降って開催不可となった場合、先に結論を出しては後戻りできないので、2月まで先延ばしてもらいたい。左伴社長は、炎天下での奈良クラブ戦について言及されたが、降雪地域が開幕4試合をアウェイとしているように、照明設備がないことを当初から分かっていたのであれば、夏場をアウェイゲームにするなど日程調整できたはずである。あえて真夏の炎天下で試合をさせたのは、Jリーグがシーズン移行に誘導させるためではないかと疑ってしまう。私は、秋春制にしなくてもサマーブレイクを導入すれば、今のままで問題ないと思っている。
次にACLの秋春制について、Jリーグはシーズン移行を何度も見送り、当面、議論しないと結論づけていたのに、どのような経緯でアジアサッカー連盟(AFC)と合意したのか伺いたい。移行推進派の日本サッカー協会(JFA)田嶋会長が、Jリーグの意向を確認せず、勝手に進めたのであれば問題である。
夏場のインテンシティが、低下するのは当然と考える。表を見ると3‐5月は Jリーグが欧州を上回り、8‐10月は欧州がJリーグを上回っているが、これは開幕3か月というフレッシュなコンディションが大きく影響しているのではないか。疲労が蓄積する夏場に低下するのであれば、1~2か月程度のサマーブレイクを入れてリフレッシュさせれば解決できる話であり、暑さとの因果関係はないと思っている。それとクラブワールドカップが6月開催になると、現行春秋制ではリーグ中盤となり、一方、秋春制ではリーグ終了後に戦うこととなる。まずはACLの予選リーグを勝ち抜くことが大前提であるが、2、3月から始まるACL決勝トーナメントをフレッシュな状態で戦い、そのままの勢いで世界大会に臨める現行春秋制の方が結果を残す可能性は高いのではないか。
スタジアム問題について、Jリーグ全60クラブの半数が専用スタジアムを有するため、シーズン移行しても大丈夫と説明があったが、仮に陸上競技場をホームスタジアムにするJ2の13クラブが20クラブにまで拡大すると日程調整は不可能である。シーズン移行前に富山がJ1に昇格していれば問題ないが、クラブは調整困難になるリスクを理解して言っているのか。
また、W杯イヤーはスケジュールがタイトとなるため、B案で示すウィンターブレイク(=従来オフシーズン)がなし崩しとなり、いつの間にか冬場の試合数が増えるA案に近づいていくのではないかと心配している。最終的に降雪地域のクラブだけが負担を背負うことにならないようJリーグと話し合ってもらいたい。
最後に、海外移籍について、欧州のシーズンと合わせることで、むしろ ゼロ円移籍が増えてしまうのではないか。海外移籍に拍車が掛かれば海外→J1→J2→J3という流れでチームの主力選手が引き抜かれてしまいかねない。 確か欧州の移籍ウインドウは8月末に閉まるはずであり、Jリーグ開幕後つまりチーム編成後に主力選手が引き抜かれる可能性が出てくる。本年2月半ばにマリノスのGK高丘選手がメジャーリーグサッカーに移籍し、昨年2月にも同じくマリノスのDFチアゴ・マルチンス選手が移籍している。クラブは違約金を手にしていると思うが、シーズン開幕後に主力選手が引き抜かれると、チームは大きなダメージを受けてしまうのではないか。

A.あまりにも多くの質問で、かつ、その大半が仮定の話であるため、答えられない内容が多いというのが本音である。ビジネスの世界では、仮定の話をされても物事が前に進まないので、そこは気に留めてもらいたい。
まずJリーグから余計なお世話と言われるかもしれないが、Jリーグが秋春制を進めるために奈良クラブとの試合を真夏の炎天下にさせることは絶対にあり得ない。これは奈良クラブとJリーグが話し合って決定したものであり、プロスポーツの本懐にもとる恣意的な操作は存在しないと断言する。
ACLの秋春制については、西アジアとの間に「お金の理屈」というものがあり、JFAの田嶋会長は大変苦しい立場に置かれている。西アジアには桁外れのオイルマネーを武器に200~300億円のクラブが存在し、石油会社の1つが100億円を出すと言えば、Jリーグのクラブは簡単に買えてしまう。ちなみに私が在籍していたあるクラブでも問い合わせがあったが、Jリーグに足掛かりをつくりたい海外資本がカターレ富山のような7億円規模のクラブを10倍の値段で買い付けるそんな話があっても決して不思議ではない。また、今やAFCのリーダーは西アジアであり、気温40度を超す理事国に対して、極東アジアが春秋制を主張したところで意見が通るはずはなく、これがまさにAFCのパワーバランスである。
JFAは、Jリーグ・日本サッカーのあるべき姿として、海外組で構成されている日本代表に風穴を開けたいと思っており、その一方策としてJリーグにシーズン移行を提案している。Jリーグは、これまで降雪地域を主とした課題解決に至らず、シーズン移行を見送ってきたが、今回は降雪地域に最大限配慮した足跡を残しており、ACLの秋春制を積極的に捉えたのが今のJリーグの検討である。先ほど12月に結論を出すのは、冬場の問題を露呈しないうちに決定したいJリーグの思惑と話されたが、そのような事は 1ミリもない。過去3回すべて否決されたのは、いずれも降雪地域が否決理由であり、今冬を待たずとも結論は出せるはずである。富山としては、諸説クリアできればB案でサインするが、現行春秋制のオフシーズンと同じ12月第1週に終わり、2月第3週から始まるウインターブレイクは、今のJ1、J2のレギュラーシーズンと何ら変わらない。つまり今冬を経験しなければ結論は出せないという理屈にはならない。今後、W杯やクラブワールドカップといったあらゆる世界大会が、秋春制のシーズンオフに合わせて6月開催となるが、Jリーグの真最中に主力選手が日本代表に引き抜かれたり、クラブワールドカップに出場することは、選手のコンディショニング面でマイナスでしかない。シーズン終了後であれば疲労の程度はあれ、すべて同じ条件で戦うことになるので、シーズン途中のイレギュラーな状態よりもベターという判断に至ったと解釈する。これは個人による見解の集合体であるため、Jリーグ60クラブに賛成派と反対派がいることは当然であり、それらを含めて12月末に決めることになる。サマーブレイクに関する意見が非常に多いが、前述のとおり6月は、ほぼ毎年1か月に渡る世界大会が開催されるためリーグ戦はできない。大会終了後の7月にリーグ戦を再開し、8月にサマーブレイクに入れてコンディションを難しくさせるぐらいなら、キャンプができるようオフシーズンを1箇所にまとめてほしいと話している。Jリーグが来シーズン導入予定のサマーブレイクは約2週間と聞いているが、これは代表戦を行うインターナショナルウィークであり、これ以上細切れにさせるとチームの成熟度は高められない。
最後に海外移籍について、そもそもゼロ円移籍をさせてしまうような強化部長やGMがいることが問題であり、Jリーグ全体でもっと優秀な強化部長やGMを育てなくてはならない。国内外のクラブとネットワークを築き、例えば、松岡大智にオファーレターが届きそうであれば 8月までに来シーズンの契約を巻き直すのが定石であり、そのような作業をしていないからゼロ円移籍になってしまう。代理人との交渉でクラブ力の差が出ると言われているが、優秀な強化部長・GMというのは、私が知る限り2~3人しかいない。つまり、欧州とシーズンが揃うからゼロ円移籍になるというのは大きな誤解であり、強化部長やGMは、違約金ビジネスで獲得した資金をトップライン(年商)に織り込んで選手補強や監督人事に充当させるお金を扱うレベルを上げていくことが大切である。それとウインドウが閉まる8月末に主力選手が引き抜かれることは、日本に限らず欧州でも繰り広げられており、Jリーグでもキャンプであまり使われなかった外国籍選手が移籍するケースは頻繁にある。当然のことながら引き抜かれる選手には違約金を設定しているが、通り一遍の契約交渉に終始し、「他のクラブからオファーが来て移籍した」「大した移籍金を得られなかった」「違約金を設定していなかった」そのようなチーム編成を繰り返すクラブは絶対に強くならない。また、選手がどれぐらいそのクラブに対して愛情を持っているかも重要であり、日頃の練習や生活の中で、きめ細やかなケア、サポートをしているから、チームにブーストが掛かるよう自ら人柱となって引退声明を出す高橋駿太のような選手が現れる。残り試合で10点、15点を取って、やっぱりもう1年やりたいと思うかもしれないが、「今ここで俺が引退発表すれば必ずチームがまとまる」と言い切るそのような愛情を持った選手をどれくらい育めるか、それが違約金ビジネスの根幹である。
Q.第2回タウンミーティングでB案と同じ日程で春秋制をできないか提案したが、それを実施すれば一定の効果を測定できるのではないか?

A.Jリーグの実行委員会でシーズンオフと同じ期間のサマーブレイクを提案し、同様の声がたくさん届いていることも伝えている。2023-2024シーズンのACLでどのような結果がもたらされるか分からないが、個人的には選手の疲労を考慮し、欧州や西アジアとイコールコンディションで戦わせてあげたいと思っている。それとSNSで富山が「賛成」と捉えられているのはあまりよろしくない。今回のクラブ見解は、弊社取締役会の決議事項として機関決定を受けたものであり、クラブの代表として公式ホームページで発信している。その内容に対して匿名の方々がコメントされるのは構わないが、真実は発信した内容以上でも以下でもないので、クラブとしてその方々にリプライするつもりは全くない。

Q.カターレ・ロスについて問いただしたい。加えて、先ほどアウェイ4連戦になると聞いたが、その情報は間違いないか。

A.B案の場合はアウェイ4連戦となる。J1・J2のレギュラーシーズンは開幕が2月第3週のため、降雪クラブは開幕からアウェイ連戦となっている。これまでJ3の開幕が3月第1週になっていたのは、J1・J2に比べてクラブ数が少なく日程的に余裕あったので、富山は開幕アウェイ2連戦となっていた。B案の富山J2バージョンは、2月第3週から3月第2週までアウェイ4連戦となっているが、秋田や山形は開幕アウェイ6連戦であり、クラブによって多少違いはあるものの、このようなスケジュール感となる。

Q.アウェイ4連戦であれば万難を排して応援に駆けつけたい。例年2月にチームは高知県春野市でキャンプを行っているが、ファン・サポーターは相当決意しないと見に行けない。雪が積もっている草島グラウンドでトレーニングができないのは重々承知しているが、ホームゲームに限らず、アウェイや日々の練習での触れ合いが選手との愛を育むものと考えている。離れている夫婦がだんだん冷めていくように、触れ合う機会が減ってしまうことに大変危惧している。クラブはどのように考えているのか?

A.B案の場合、年間稼働日数が290日から230日に減少し、マイナス 60日はキャンプに行ってしまうため、カターレ・ロスが出てくると第2回タウンミーティングでご意見いただいた。今、クラブ内で話し合っているが、2021シーズンのJ3は15クラブ/年間28試合と少なかったため、7‐8月のサマーブレイクを利用してボーリング大会やスポンサーを集めたゴルフ大会、秋にはファン感謝の集いを催した。試合で頑張る姿も良いが、日常的に皆さんと触れ合うチームであり続けたいことから、今後、オフショットイベントをどれぐらい増やせるか趣向を凝らしたい。秋春制では、まとまった時間が作れるため、冬場はインドアのイベントや選手が出席するサポータカンファレンス等も可能となる。これからは障がい者、お年寄り、青少年に資する活動と同様に、ファン・サポーターの皆さんが楽しめるイベントにも注力していきたい。選手の高橋駿太や佐々木陽次は喜んで参加してくれるので、オフシーズンが長くなることを前向きに捉え、皆さんとの触れ合いをビジョンや会社方針で打ち出ていく。ホームゲームは19/365日しかないので、残り340日余りでどうやってカターレを広めていくのか、それができなければ平均観客数は3,000人から増えないと話している。応援してくれるファン・サポーターはもちろん県内の不特定多数の人たちにも呼びかけていきたい。例えば、シーズンパスやファンクラブ会員の皆さまとのパーティーは、違う形で4回ぐらい開催したいし、ゴルフができない人のためのイベントも考えていきたい。そこはクラブとして気を配らなければならないところであり、多少お金を頂きながらやりたいと真面目に考えている。

Q.キャンプについて、家族想いのマテウスが離れ離れで生活するのは可愛そうである。おそらく自宅で待っている家族も同じ思いをしているので、何とかしてあげてほしい。スポーツ選手のメンタルは大事、特に外国籍選手には気を配ってもらいたい。

A.確かに可哀そうと思う部分もあるが、もしかすると精神衛生上の健康を保って良いプレーを引き出すために必要な考え方かもしれない。それぐらい変わってしまう環境に身を置くことになるので、クラブとして何ができるのか少し考えたい。外国籍選手は1つ間違うと母国に行ったままチームに戻ってこないケースがあるので、冗談では済まされない問題かもしれない。シルバが奥さんの来日を機に活躍し始めたが、外国籍選手にとって家族が大きな存在であることは十分理解している。

Q.Jリーグがこのままではジリ貧になってしまうため、緊縮財政に努めていると思っていた。Jリーグがウインターブレイク中のキャンプ費用を支給すると話していたが、降雪地域以外にも一律で支給されることに違和感を覚えた。また、一律支給ということはいずれキャンプ補助が打ち切られる可能性もあり、そのときに富山は大丈夫なのかと心配している。そこまでさせて放映権料が上がる絵姿が見えないので、その我慢が報われるのか甚だ疑問であり、何か有効な手立てがあるのかJリーグの考えを聞かせてほしい。

A.まず、最初に降雪地域だけが我慢とあったが、B案の場合、今と条件が変わらないことを再度、お伝えしたい。つまり、降雪地域だけが我慢するとか、降雪地域が大変だという考え方にはならない。今と異なるのは平日開催が増えること、シーズン中に2度の長期オフが発生し、ウインターブレイク中にキャンプが必要になることである。B案を支持した時点で、今のオフシーズンと同じように12月第1週から中断期間に入り、2月第3週からリーグ戦が再開されるため、オフシーズンがウインターブレイクに読み方が変わるだけで何ら条件は変わらない。
キャンプ費用について、降雪地域の富山はそもそもオフシーズンであろうがウインターブレイクであろうが、雪が積もって練習ができないので、暖かい高知県春野市でキャンプを行うことになる。たとえ雪が少なくても、草島グラウンドでトレーニングは行わない。キャンプとは、チームビルドの観点から一定期間、寝食を共にする必要があり、それは他のクラブも共通の考えである。降雪地域のクラブだけが補助を受けて、他のクラブが受けられないのは不合理であり、つまり秋春制によって生じた追加コストは、各クラブが応分に受けられるべきである。また、これに便乗して上乗せしてきたクラブは1つもないと聞いている。Jリーグは、補助金を平均にするのか、降雪地域に傾斜配分するのか議論しているが、富山が申請した14百万円は、ほぼ平均値であるためどちらにしても満額が支給されると考えている。それとクラブ経営者として、このような補助金がJリーグから未来永劫にわたり支給されるとは思っていない。それをあてにした経営は間違っていると実行委員会で話した。制度変更によって生じたコストをクラブの売上だけでカバーするのは難しいし、それによって経営が行き詰まるクラブが出てもおかしくない。しかし、何年にもわたってプラスアルファのキャンプ補助をあてにして、経営努力しないクラブはいかがなものかと思っている。自らの企業努力でコストを補い、吸収していけるよう次元立法的な支給にすることがあるべき姿であり、Jリーグがいつまでも手取り足取り補助金を出し続けることに違和感があると伝えた。
放映権料について、かつてガンバ大阪の遠藤保仁選手をひと目見ようと県総に13千人が来場したように、ビッグネームを獲得することがポピュラーな打開策となるが、目標設定した放映権料に必要な視聴者数、スポンサー料、各クラブに還元される配分金を割り出して全60クラブに努力を促すことや、他の放映会社を入れて競争入札するといった手法も考えられる。Jリーグには、なぜ海外リーグの放映権料が高騰したのか検証し、それをビジネスプランに落とし込んで欲しいと伝えている。おそらく出てくる答えは、ロナウドが移籍してどこの放映権料が跳ね上がったとか、メッシがMLSに移籍してどうなったとか、主にビッグネームの移籍で生じる放映権料の話になると思うが、Jリーグは勝利至上のサッカー軸と華のある選手がいるプレイヤー軸の2軸をもって、どれぐらいの規模感でお金が動いたか検証しているはずである。おそらく日本のメディアがそこまでサッカーにお金を出すとは考えにくいが、欧州の会社が目をつける可能性はあるので、欧州のベンチマークをもう少し研究した方が良いと考える。最終的に高額な放映権料を手にできないとなれば、スポンサー料収入、入場料収入、物販だけで年商を1.5倍に増やせると思えないので、私たちクラブ側も放映権料の引き上げに協力すると伝えている。ようやく方向性が定まったので、具体的な数値目標を計画に落と込み、10年後のベンチマーク「200億円のビッグクラブ」と「J2、J3の年商1.5倍」を達成するため、Jリーグは浦和レッズや横浜Fマリノスといった大きなコンテンツを使って放映権料をアップさせる年次フローに着手すると考える。
Q.今回のシーズン移行について、目的や意味を丁寧に説明いただいたことで、自分の中で納得はしているものの、やはりスタジアム確保が1番のネックになると思われる。本日の説明の中で、どのようにスケジュール調整するのか1つの案が出てきたので、完全ではないが懸念材料が解消されてきた。B案の場合、非稼働期間が長くなるため、過密日程で平日開催が増えると説明があったが、そもそも来シーズンからJ1・J2・J3が20クラブとなり、J3にも昇格プレーオフが導入されるため、シーズン移行以前に過密日程が予想される。確か第1回タウンミーティングで左伴社長が「クラブ数の削減は絶対にあってはならない」とコメントしていたと思うが、過密スケジュールになると日程調整がつかず試合が成立しないリスクが高まるため、クラブ数は減らすべきという意見をSNSで目にした。個人的には60クラブという枠組みが理想的であり、クラブ数は絶対に減らすべきではないと思っているが、Jリーグはクラブ数削減を前提にした検証作業を行っているか可能な範囲で教えてほしい。

A.Jリーグはクラブ数を増減させた日程のシミュレーションはしていない。あくまでも60クラブを前提としており、クラブ数削減については、実行委員会の場で各クラブの社長から反対意見が出ている。クラブ数が削減されると必然的にホームゲームが減少し、興行収入が減ることから経営的なダメージを受けることとなる。収入が減ることは誰も好まないので、たとえ過密日程になっても60クラブの枠内でやっていくことになる。天皇杯やルヴァンカップを勝ち上がると確かに連戦は増えるが、すべてが川崎フロンターレのような強いクラブばかりではないので、60クラブというのは適正なクラブ数と言えるのではないか。富山の場合、ホームゲームが1試合減ると数百万円の減収で済むが、J1になると桁が一つ増え、数千万円となるため、クラブ数が減るというのは、集客力のある興行依存型のクラブにはインパクトが大きいので、相当な抵抗感があると思う。

Q. シーズン移行によって、オフシーズンが6月、7月になるとキャンプの考え方が大きく変わってくると思う。具体的には今の12月~2月は雪が積もっているため、物理的に富山でキャンプはできないが、これが6月、7月になるとできないことはないと思っている。特に冬は降雪影響で開幕直前までキャンプを延長し、場合によってはキャンプ地からアウェイ開幕戦に行くことも十分考えられる。つまり3月開幕を今まではデメリットと捉えていたが、シーズン移行で8月開幕になるとデメリットが解消されるのではないか。

A.強化とか現場の観点から申し上げると6-7月のオフシーズンはデメリットと捉えていない。これまでのような積雪の心配が解消されるため、追加キャンプもなく、最悪、草島グラウンドでも調整可能なことから、安心してキャンプに行ける。選手のパフォーマンスを上げるため、涼しいところでキャンプをしたいチームが増えることから、キャンプ地争奪戦を想定し、早めに動き出さなければと考えている。太平洋側で暮らしていた人間が富山に来て感じたのは、冬場の練習環境が限定されるため、開幕スタートダッシュは極めて難しいということ。屋内ドームの人工芝では強度を上げられず、キャンプから戻っても草島グラウンドに雪が積もっていれば雪のない他県に逃げるしかない。今だから話すが、そのような光景を実際に見て、その時は不安でしかたなかった。つまり、開幕前のオフシーズンに雪の心配をせずコンディションを整えられるのは、降雪地域にとってアドバンテージに働くと考える。

Q.15年の歴史を振り返って、開幕ダッシュに成功したのは2017年の3連勝だけであり、それ以外はスタートダッシュに失敗したと捉えている。今シーズンも開幕戦でYS横浜に勝利したものの、2戦目で沼津に敗戦し、連勝とはならなかった。開幕第2戦にフォーカスすると、この15年で少なくとも10敗はしており、これは降雪地域のハンデだと思っている。シーズン移行で8月開幕となった際には、そのハンデが解消されることを願う。

A.理解した。

Q.気象庁には暑さ指数という、ある一定の暑さに達したら運動ができない、スポーツをしてはいけない物差しがある。そのようなことが言われる時代で8月、9月に平気で平日試合を行うのはちょっとおかしいのではないかと思っている。いずれJリーグでも暑さ指数を用いた試合の中止判断が取り沙汰されると思うが、暑熱対策として秋春制に移行することは個人的に賛成である。繰り返しになるが8月、9月に平日試合を開催するのは大変厳しいと思うので、平日開催なしのシミュレーションを考えているのか教えてほしい。

A.今日のタウンミーティングでいただいたご意見は、Jリーグに提出するつもりでいる。第2回タウンミーティングでも挙がっていたが、この暑い時期に平日開催を削減するようスケジューリングする上でパラメーターに入れてほしいという要望は伝えている。また、試合時の給水タイムやクーリングブレイク以前に、人命を最優先にした試合開催の判断基準というものもJリーグに必ず要望する。9月17日のホームFC大阪戦は、ピッチ温度が38℃という酷暑の中、デーゲームで開催し、観戦した皆さんにご迷惑をかけてしまい大変申し訳なく思っている。今シーズンは1円たりとも無駄にできない苦しい収支のため、可能な限り節約してほしいと頼みを聞いた運営責任者が、9月中旬の平均気温は25℃前後ということで、照明代節約のために決定してしまった。アウェイ奈良戦しかり、Jリーグはアラートを掴み取ってくれるので、今ほどの話しは皆さんからのご意見としてJリーグに上申する。

Q.シーズン移行後の夏場のキャンプについて、最近は北海道もかなり暑くなっているので、さらに北のロシアか南半球のオーストラリアに行かなければ凌げないと思っている。コストが嵩むことになるが、会社としてキャンプ地選定をどのように考えているのか。もう1つは放映権料が本当に上がっていくのかイメージが全く掴めない。ダゾーンの視聴者数を増やして行こうと言っても、それほど大きな効果は得られないと思っており、Jリーグが描く海外放映権料の獲得戦略を教えてほしい。

A.キャンプに要する追加コストは、Jリーグに請求することとなるが、海外に行くことを前提に積み上げておらず、常識の範囲内でコストを算出している。夏場のキャンプ地と言えば長野や十日町がとても涼しかった記憶がある。国内は絶対に無理だと決めつけないで、 関東でも千葉県の銚子・勝浦は1年を通じて30度を超えないことから、暑さを凌げるキャンプ候補地を真剣に探したい。また、キャンプとは何億円のお金が動くビジネスであるため、手を上げる地域・会社は必ず出てくる。まだ検討段階なので売り込みに来た会社は1社もないが、必ず出てくるに違いない。高知キャンプは、遠隔地であるため移動コストを要するが、本州であれば10百万円程度で収まると予想している。
放映権料については、正直なところ今一つ見えていない。先ほど話したとおり、初めてのことなのでJリーグは英国プレミアリーグの5,000億円の絵は描けていないが、毎年、放映権料を上げるために競争入札を実施している。どのようにして値段を上げていくのか、現段階でそのプロセスは定かではないが、 海外や日本の視聴者数が増えた要因を聞く限り、特定の有名選手もしくは強いチームが海外で勝利しているところで数字が伸びているので、そのあたりに戦略を立てて、具体的な数字を織り込んだ計画を立案しようとしている。配分金は均等配分と傾斜配分で構成されており、強いクラブを作るため、J1優勝や2位のクラブに対して厚めに設定しているが、今後については、現在、検討している最中である。放映権料があまり上がらず、富山のようなJ3クラブが潤わない場合は、均等配分比率を上げる対策を取っているので、そのような合わせ技を使って、リーグ全体として放映権料をどれぐらい上げられるのか、また、上がらなかった場合に下位カテゴリーへの配分方法をどうするのかが今後の検討課題である。

Q.細かいことになるが、2026年のW杯イヤーからシーズン移行となり、初年度は8月開幕、それ以降、W杯が開催されない年は7月半ばから開幕すると一部報道で目にした。Jリーグは各クラブに対して、開幕・シーズン終了を明確に示しているのか。また、2月後半に開幕する日程はかなり厳しいと聞くが、Jリーグは試合日程の前倒しや後ろ倒しを簡単に考えているのではないか。そのことをJリーグ側にも伝えていただくとともに、現在示されている試合日程について、具体的なスケジュールがあれば確認させてもらいたい。

A.開幕は土日の関係で7月末または8月初旬、最終戦は5月下旬と聞いており、7月中旬にずれ込むとは聞いてない。年によって多少変わることはあるかもしれないが、実行委員会というオフィシャルの場では開幕8月上旬、最終戦5月下旬を基準にしており、Jリーグは決してスケジュールを安易に考えてはいない。元々、J3はクラブ数が少なかったため、少しでも暖かい時期に開幕を迎えた方が良いと3月第1週にセットし、J1、J2は2月第3週としていた。2024シーズンから全カテゴリーが20クラブとなるため、J3開幕は現行J1、J2と同じ2月第3週に前倒しとなる。これにより平日試合が減少し、過密日程も緩和されるものの、2月第3週に開幕を迎えると富山はアウェイ4連戦になる。これは降雪事情を考慮し、クラブとして判断した。

Q.うまく言えなかったが、降雪地域に住む我々にとって、A案の開幕2月初旬が出てくること自体に理解できなかったので、Jリーグは日程を簡単に考えていると思いコメントした。

A.平日開催を減らした方がいいのか、それとも降雪地域に配慮してウインターブレイクを現行オフシーズンと同じ期間にした方がいいのか、各クラブによって考え方は異なるので、Jリーグは選択肢を持たせるために2案を用意したと理解している。入場者数が減少する平日開催を減らしたいのは、すべてのクラブが思っていることであり、安易に日程を前倒ししたというよりも、平日開催を極力減らす方策としてA案を示したという方が適切な表現かもしれない。降雪地域にとって、開幕2月第1週はあり得ないが、太平洋側のクラブは平日開催が減少し、過密日程が緩和されるA案を選択するかもしれない。最終的に富山はB案をJリーグにリコメンドするが、それは各クラブの自由選択ということをご理解いただきたい。